近本選手は、昨年セリーグの新人安打記録を塗り替える活躍で見事に新人特別賞を受賞しました。去年活躍した阪神の選手としては筆頭に挙げられるのでないでしょうか。
今シーズン、矢野監督はその近本を2番に起用する方針を明らかにしました。攻撃の鍵となる選手だと考えているようです。
さて、そんな大きな期待を背負った近本ですが、「2年目のジンクス」というやっかいな歴史が襲ってきます。
近年の新人王、新人特別賞を受賞した選手と比較して、ジンクスに陥らないタメにはどうしたら良いかを考えていきたいと思います。
直近18年の新人王、特別賞を獲得した選手
セリーグ
新人王/特別賞 | 年度 | 名前 | チーム | ポジション | 打率/防御率 | 本塁打(盗塁)/勝負S |
新人王 | 2018 | 東克樹 | DeNA | 投 手 | 防御率2.45 | 11勝5敗 |
新人王 | 2017 | 京田陽太 | 中 日 | 内野手 | 打率.264 | 4本塁打 |
特別賞 | 2017 | 浜口遥大 | DeNA | 投 手 | 防御率3.57 | 10勝6敗 |
新人王 | 2016 | 高山俊 | 阪 神 | 外野手 | 打率.275 | 8本塁打 |
新人王 | 2015 | 山崎康晃 | DeNA | 投 手 | 防御率1.92 | 2勝4敗37S |
新人王 | 2014 | 大瀬良大地 | 広 島 | 投 手 | 防御率4.05 | 10勝8敗 |
新人王 | 2013 | 小川泰弘 | ヤクルト | 投 手 | 防御率2.93 | 16勝4敗 |
特別賞 | 2013 | 菅野智之 | 巨人 | 投 手 | 防御率3.12 | 13勝6敗 |
特別賞 | 2013 | 藤浪晋太郎 | 阪神 | 投 手 | 防御率2.75 | 10勝6敗 |
新人王 | 2012 | 野村祐輔 | 広 島 | 投 手 | 防御率1.98 | 9勝11敗 |
新人王 | 2011 | 沢村拓一 | 巨 人 | 投 手 | 防御率2.03 | 11勝11敗 |
新人王 | 2010 | 長野久義 | 巨 人 | 外野手 | 打率.288 | 19本塁打 |
新人王 | 2009 | 松本哲也 | 巨 人 | 外野手 | 打率.293 | 16盗塁 |
新人王 | 2008 | 山口鉄也 | 巨 人 | 投 手 | 防御率2.32 | 11勝2敗 |
特別賞 | 2008 | 坂本勇人 | 巨 人 | 内野手 | 打率.257 | 8本塁打 |
新人王 | 2007 | 上園啓史 | 阪 神 | 投 手 | 防御率2.42 | 8勝5敗 |
新人王 | 2006 | 梵英心 | 広 島 | 内野手 | 打率.289 | 8本塁打 |
新人王 | 2005 | 青木宣親 | ヤクルト | 外野手 | 打率.344 | 3本塁打29盗塁 |
新人王 | 2004 | 川島亮 | ヤクルト | 投 手 | 防御率3.17 | 10勝4敗 |
新人王 | 2003 | 木佐貫洋 | 巨 人 | 投 手 | 防御率3.34 | 10勝7敗 |
新人王 | 2002 | 石川雅規 | ヤクルト | 投 手 | 防御率3.33 | 12勝9敗 |
新人王 | 2001 | 赤星憲広 | 阪 神 | 外野手 | 打率.292 | 39盗塁 |
パリーグ
新人王 | 2019 | 高橋礼 | ソフトバンク | 投 手 | 防御率3.34 | 12勝6敗 |
新人王 | 2018 | 田中和基 | 楽 天 | 外野手 | 打率.265 | 18本塁打 |
新人王 | 2017 | 源田壮亮 | 西 武 | 内野手 | 打率.270 | 3本塁打 |
新人王 | 2016 | 高梨裕稔 | 日本ハム | 投 手 | 防御率2.38 | 10勝2敗 |
新人王 | 2015 | 有原航平 | 日本ハム | 投 手 | 防御率4.79 | 8勝6敗 |
新人王 | 2014 | 石川歩 | ロッテ | 投 手 | 防御率3.43 | 10勝8敗 |
新人王 | 2013 | 則本昂大 | 楽 天 | 投 手 | 防御率3.34 | 15勝8敗 |
新人王 | 2012 | 益田直也 | ロッテ | 投 手 | 防御率1.67 | 2勝2敗43HP |
特別賞 | 2012 | 武田翔太 | ソフトバンク | 投 手 | 防御率1.07 | 8勝1敗 |
新人王 | 2011 | 牧田和久 | 西 武 | 投 手 | 防御率2.61 | 5勝7敗22S |
特別賞 | 2011 | 塩見貴洋 | 楽天 | 投 手 | 防御率2.85 | 9勝9敗 |
新人王 | 2010 | 榊原諒 | 日本ハム | 投 手 | 防御率2.63 | 10勝1敗 |
新人王 | 2009 | 摂津正 | ソフトバンク | 投 手 | 防御率1.47 | 5勝2敗 |
新人王 | 2008 | 小松聖 | オリックス | 投 手 | 防御率2.51 | 15勝3敗 |
新人王 | 2007 | 田中将大 | 楽 天 | 投 手 | 防御率3.82 | 11勝7敗 |
特別賞 | 2007 | 岸孝之 | 西武 | 投 手 | 防御率3.40 | 11勝7敗 |
新人王 | 2006 | 八木智哉 | 日本ハム | 投 手 | 防御率2.48 | 12勝8敗 |
新人王 | 2005 | 久保康友 | ロッテ | 投 手 | 防御率3.40 | 10勝3敗 |
新人王 | 2004 | 三瀬幸司 | ダイエー | 投 手 | 防御率3.06 | 4勝3敗28S |
新人王 | 2003 | 和田毅 | ダイエー | 投 手 | 防御率3.38 | 14勝5敗 |
新人王 | 2002 | 正田樹 | 日本ハム | 投 手 | 防御率3.45 | 9勝11敗 |
新人王 | 2001 | 大久保勝信 | オリックス | 投 手 | 防御率2.68 | 7勝5敗 |
打者だけに絞ると
セ/パ | 新人王/特別賞 | 年度 | 名前 | チーム | ポジション | 打率 | 本塁打/盗塁 |
セ | 新人王 | 2017 | 京田陽太 | 中 日 | 内野手 | 打率.264 | 4本塁打 |
セ | 新人王 | 2016 | 高山俊 | 阪 神 | 外野手 | 打率.275 | 8本塁打 |
セ | 新人王 | 2010 | 長野久義 | 巨 人 | 外野手 | 打率.288 | 19本塁打 |
セ | 新人王 | 2009 | 松本哲也 | 巨 人 | 外野手 | 打率.293 | 16盗塁 |
セ | 特別賞 | 2008 | 坂本勇人 | 巨 人 | 内野手 | 打率.257 | 8本塁打 |
セ | 新人王 | 2006 | 梵英心 | 広 島 | 内野手 | 打率.289 | 8本塁打 |
セ | 新人王 | 2005 | 青木宣親 | ヤクルト | 外野手 | 打率.344 | 3本塁打29盗塁 |
セ | 新人王 | 2001 | 赤星憲広 | 阪 神 | 外野手 | 打率.292 | 39盗塁 |
パ | 新人王 | 2018 | 田中和基 | 楽 天 | 外野手 | 打率.265 | 18本塁打 |
パ | 新人王 | 2017 | 源田壮亮 | 西 武 | 内野手 | 打率.270 | 37盗塁 |
44人の受賞者のうち打者は10人しかいません。打者の新人が成績を残すのがいかに難しいかという事がわかりますね。
二年目のジンクスで成績を落とした選手
年度 | 名前 | チーム | ポジション | 打率 | 本塁打/盗塁 | 上昇/下降 | 翌年打率 | 翌年本塁打/盗塁 |
2017 | 京田陽太 | 中 日 | 内野手 | 打率.264 | 4本塁打 | ↘︎ | 打率.235 | 4本塁打 |
2016 | 高山俊 | 阪 神 | 外野手 | 打率.275 | 8本塁打 | ↘︎ | 打率.250 | 6本塁打 |
2001 | 赤星憲広 | 阪 神 | 外野手 | 打率.292 | 39盗塁 | ↘︎ | 打率.252 | 26盗塁 |
2018 | 田中和基 | 楽 天 | 外野手 | 打率.265 | 18本塁打 | ↘︎ | 打率.188 | 1本塁打 |
二年目のジンクスで成績を落としている選手は四人です、しかし赤星選手は前半に自打球で骨折をして3ヶ月を欠場しましたが、盗塁王を2年連続で獲得していますので、2年目のジンクスに陥った選手は3人です。田中選手は骨折の影響でスイッチヒッターとして活躍ができなくなったようです。高山選手は2年目に守備のミスが影響してメンタルからバッテングを崩したと思われます。
二年目のジンクスに影響されず成績を伸ばした選手
年度 | 名前 | チーム | ポジション | 打率 | 本塁打/盗塁 | 上昇/下降 | 翌年打率 | 翌年本塁打/盗塁 |
2010 | 長野久義 | 巨 人 | 外野手 | 打率.288 | 19本塁打 | ↗︎ | 打率.316 | 17本塁打 |
2009 | 松本哲也 | 巨 人 | 外野手 | 打率.293 | 16盗塁 | → | 打率.287 | 17盗塁 |
2008 | 坂本勇人 | 巨 人 | 内野手 | 打率.257 | 8本塁打 | ↗︎ | 打率.306 | 18本塁打 |
2006 | 梵英心 | 広 島 | 内野手 | 打率.289 | 8本塁打 | → | 打率.260 | 18本塁打 |
2005 | 青木宣親 | ヤクルト | 外野手 | 打率.344 | 3本塁打29盗塁 | ↗︎ | 打率.321 | 13本塁打41盗塁 |
2017 | 源田壮亮 | 西 武 | 内野手 | 打率.270 | 37盗塁 | ↗︎ | 打率.278 | 34盗塁 |
二年目に成績を伸ばしているのは、源田選手はじめ四人います。二人はほぼ一緒の成績でした。そし成績を伸ばした選手は個人タイトルを取るような超一流選手になっています。そこで、なにが2年目のジンクスを引き起こすかです。
2年目のジンクスはなぜ起こるか?
一番に上げられるのは、練習不足です。一年目に成績が出た選手は、そのオフにマスコミやイベントに引っ張りだこになり疲労の回復や自主練習ができなくなり、調整がままならない状態で開幕を迎えてしまうことにあります。
次に上げられるのは、相手チームに徹底的に研究され、対策を講じられてしまい。結果が出なくなって、自信がなくなり悪循環でバッテングを崩すケースです。
そして、三つ目が一番陥りやすいケースです。周囲からの注目に応えようと、無理なトレーニングをして体を痛めてしまう事です。その上、怪我を隠してプレーをしてバッテングまで見失ってしまいます。
2年目のジンクスを克服するために
三つの要因を克服するには、やはり心技体のバランスを保つということになるんじゃないでしょうか。英語で言うとメンタル、テクニカル、フィジカルです。上の例で言うと。慢心で練習不足だとテクニカルに影響が出て、それがメンタルに波及し、最後にフィジカルをも壊してしまうと言う事です。
まとめ
過去18年の選手を調べてわかったことは、新人王や特別賞を受賞した打者は少ないと言うことです。そしてそのプレッシャーに勝った選手はあまり2年目のジンクスに陥っていないと言うことです。ただし、直近の三年は3人の打者が2年目のジンクスに陥っています。さて近本は今シーズン成績を伸ばせるでしょうか。二年続ければ坂本や青木のようにタイトルフォルダーも夢じゃないので、是非練習を優先して頑張ってもらいたいです。